教室の荒れと生徒の荒れって関係あるか考えてみた【学級経営・合理的配慮・実践例】

咲月
咲月

こんにちは!片付け苦手な元教員・咲月です!

昔から学級経営の一環として教室整備が大切だと言われていますが、最近Twitterで話題になっているようなので改めてこの関係について考えてみました。

先に言っておくと、私も片付けは大の苦手です。

突然の来客を部屋に入れられた試しはありませんし、教室整備を先輩に注意されたこともあります。

なので、「お前人のこと言えないじゃんw」と言われたらそれまでですが、

  • 教室が荒れると生徒が荒れるって本当なの?
  • 教室整備したいけどそんな余裕ない、無理、シンドイ
  • 合理的配慮って興味あるけどよくわかんない

という先生の参考になれば幸いです。

実際に公立中学校で担任をした経験と、特別支援教育について学び、特別支援で勤めた経験から、個人的に考察したことをまとめたいと思います。

生徒が荒れているってどういう状態?

生徒の荒れ方は多種多様です。

学習態度、生活態度、対人関係、問題行動、集団生活への適応……

教室の環境だけでこれらがすべて解決出来たら楽ですが、現実問題そんなことはありません。

ひとつのクラスには様々な課題を抱えた生徒が混在しており、その要因もそれぞれ異なり、それが複雑に影響しあっています

イメージとしては、素材も形も異なる積み木でジェンガをしているようなものでしょうか。

今回は

  • 教室で落ち着いて過ごせない
  • 授業に集中できない
  • 話に集中できない
  • 注意力散漫
  • 忘れ物が多い

を対象として考察していきます。

教室が荒れているって具体的にどういう状態?

どのような状態を荒れているというのか。

さすがにヤンキー映画のような窓ガラスが割れまくっているとか壁に大きな落書きがあるとかそういう特殊な例は置いておき、例えば

  • ロッカーの上にプリントが散乱している
  • 担任の机に物が積みあがっている
  • 棚の本やファイルが乱雑に入っている
  • 古い掲示物がそのまま残っている
  • 清掃用具がぐちゃぐちゃになっている
  • 机がキレイに並んでいない
  • 掃除が行き届いていない

などでしょうか。

もっと細かいところが気になる人もいるでしょうし、これは細かすぎるという人もいるでしょう。

まあ、一言でまとめると、整理整頓ができていない教室ということです。

では、なぜ整理整頓と生徒の行動が関係するのか、考えられるのは以下の理由です。

整っていない教室は生徒にとってノイズの多い環境

あくまで科学的に検証したわけではありませんが、今まで見てきたもの、学んできたものを総合的に考え、教室の乱れは生徒にとってノイズなのではないかと考えました。

ノイズとはどういうことか

動画を見ているときに画像の乱れが多かったり、通話中に音が途切れることが多かったりすると、それが妙に気になったことはありませんか?

そういうときって、内容が頭に入ってこなかったり、イライラしたりしませんか?

それと同じことが、整っていない教室では起こっているのではないでしょうか。

少し極端な図にすると、下の画像のような状態です。

整っている状態
整っている状態
整っていない状態
整っていない状態

どちらも文字はひとつも隠れていませんが、どちらの方が読みやすいでしょうか。

ノイズがある状態とはこういう状態のことです。

実はインクルーシブ教育でもよく言われること

インクルーシブ教育というのが少し前に流行りましたが、いわゆる合理的配慮を意識して障害の有無にかかわらずにともに学ぶことを目指した教育です。

その時に言われたことのひとつに、教室の前面の掲示物を減らし、棚にはカーテンなどの目隠しをするというものがありました。

(まあ、掲示義務のあるものが多すぎて机上の空論とかしていたんですけれどね……)

これも同じ理屈です。

視覚情報を減らして集中しやすくしよう、という取り組みです。

人によって情報を得やすい方法は違う

人によって五感の精度は異なります。

違いがイメージがしやすいのは、味覚でしょうか?

例えば、同じカレーを食べても辛さの感じ方は異なりますよね

これは視覚・聴覚・触覚でも同じで、人によって感じ方に違いがあります

特別支援では感覚過敏と言い、同じ環境でも耐えきれないほど苦痛を感じる場合もあります。

また、得た刺激を情報として処理する過程においても、個人差があります。

パッと思いつくだけでも、

  • 音で聞いた方が内容が理解しやすい人
  • 文字で読んだ方が内容が理解しやすい人
  • イラストの方が理解しやすい人
  • 写真の方が理解しやすい人

のように様々なパターンがあります。

視覚優位聴覚優位という考え方ですね。

人によって得意な方法が違うという個性です。

どれが良くてどれが悪いというものではありません。そういうものなんです。

視覚情報だけでなく、行動のしやすさにも関わる

整っていないということは、邪魔が多いということでもあります。

教室内を移動する時、なにか作業をする時、そういうときにひと手間増えることはデメリットになってもメリットになることはありません。

人間はパターン化した行動は思考せずにできますが、パターン化していない行動はそれをするために思考する必要が発生します。

整っていない状態というのは臨機応変に対応しなくてはいけない、パターンで動けない状態です。

そういう状態では、自発的な行動や効率的な行動は生まれにくく、不満は生まれてしまう可能性が高いのではないでしょうか?

必然的に、生徒は落ち着くよりも荒れる可能性の方が高くなります。

余裕がなくてもできる方法

乱雑な教室よりも整理整頓されたキレイな教室の方が良いのは100人に聞いて100人が同意するでしょう。

それでもできないのは、そこまで手を回す余裕がないからだと思います。

私も合理的配慮とか特別支援的な観点というものは理解していて関心もあって、取り組もうという意思はあったのに、現実は理想とは程遠く……

それでも私が40人弱の教室で取り組んでいて比較的効果があったんじゃないかなーという方法をご紹介します。

①減らす

ミニマリストじゃありませんが、物が減ればそれだけできれいに見えます。

片付ける手間も減ります。

掲示期間の過ぎたプリント、余った配布物、誰のものかわからない私物を無くすだけでパッと見の印象がだいぶ変わりました。

②場所を決める

私が勤めていた中学校では環境委員が古紙回収を行っていたので、教室に要らない紙BOXを置いていました。

余ったプリントや掲示し終わったプリントを入れるように最初に言っておくと、結構勝手に入れていますし、私自身、紙の処分が楽になりました。

古紙だけでなく、教室に置かざるを得ないものや行き場のないものをとりあえず入れる箱があるだけでも乱雑に放置されるものが1ヶ所にまとまるので、管理しやすくなりました。

③場所をわかりやすくする

上の「②場所を決める」と関連しますが、戻す場所が誰にでもわかるようにしておくだけで散らかることは減りました。

  • 机の位置に印をつける
  • 置き場に入れる物の名前を表示する
  • 片付ける見本を図解する

など、初めて見た人でもどうしたらいいのかわかるようにしました。

視覚化」という合理的配慮の一環です。

気にしない生徒やちゃんと見ない生徒もいましたが、表示されていることで意識する生徒もいたので、いちいち口うるさいことを言わないでもやってくれる生徒が増えました。

④係を決める

学級の係として、掲示係や環境整備係など、教室整備を担ってくれる係をいくつか設定していました。

クラスメートから見て仕事をしてくれているのがわかりやすいですし、成果がわかりやすいので生徒をほめるきっかけにもなりました。

生徒が頑張りすぎて人間関係に亀裂が入らないように配慮は必要ですが、教室整備以外の効果もあり、生徒たちの活動も活発になります。

⑤隠す

最終手段は隠しました(笑)

教室前面についている棚に扉がついていなかったので、100均のシンプルなカーテンを買ってきて画鋲でとめていました。

教室を整えることは、怒らないで済む工夫をすること

私は生徒大好きな親バカタイプだったので、生徒を怒らなきゃいけない時間が嫌いでした。(そもそも怒るの苦手ですし)

お互い楽しくはないし、他の生徒も気分は良くないし、怒りたい人も怒られたい人もあんまりいないと思います。

無駄と言っては失礼ですが、怒ってばかりでは生徒も慣れてしまい、本当に怒らなきゃいけないときに効果が薄まってしまうこともあります。

教室を整えることは、怒る回数を減らし、生徒が自発的に動きやすくすることに繋がると思います。

また、学力の低さが問題行動や集団への不適応に繋がるケースも少なくありません。

視覚的なストレスを減らして落ち着いて授業を受けられるような環境を整えることは、間接的にこういう事態への効果も期待できます。

咲月
咲月

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

コメント大歓迎!他の記事も読んでくれると嬉しいです。


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